ママのお悩み相談室
日頃ご相談の多いものについてわかりやすく説明します。発熱について
普段の健康な時の体温を「平熱」と言います。それに対して「発熱」とは、平熱より高い体温になることです。
平熱には個人差があります。また、体温は朝に比べて夕方には〇・五度ほど上昇することが多く、「日内変動」と言います。お子さんの朝、夕の平熱を知っておくことは、健康状態の変化に早く気がつくためにとても大事です。
人はなぜ熱が出るのでしょう?
熱が出る、すなわち体温が上がるのには二つの原因があります。
一つは、感染症等が原因となる場合です。体温は、脳のちょうど真ん中のあたりにある視床下部というところで調節されていて、体温を何度にするか(セットポイント)を決定し命令を出しています。このセットポイントが上昇するのです。
ウイルスや細菌等の病原体に感染しますと、体の中ではこの病原体と戦い排除するために、様々な反応が起こります。血液中の白血球の中には、脳の視床下部に働きかけ体温調節のセットポイントを上昇させるような特殊な物質(内因発熱物質と呼びます)を作り始めるものがあり、発熱はこれによって起こるのです。
熱が出るもう一つの原因は、体温調節がうまくいかなくなった場合で、代表的なものとして熱中症が挙げられます。外気温が高い場合など、人間の体は、皮膚からの放熱や発汗によって体温を下げて調整しますが、真夏の炎天下や高温多湿の閉め切った屋内で長時間運動したりしていると、この調節能力を超えて体温が上昇してしまい、脱水と内臓機能の低下を引き起こします。
発熱は、体にとってよい影響と悪い影響があると言われています。よい影響としては、免疫の働きを活性化させ体の防衛力を強めます。また、細菌やウイルス等の増殖を抑えます。悪い影響としては、悪寒(寒気)、体力消耗、食欲不振、不眠をきたし全身状態が悪化し、時には熱性せん妄、熱性けいれん等が起こります。
高い熱が出た時は、どうすればよいのでしょうか?
わが子が高い熱を出すと、親はだれでも本当に心配になりますよね。発熱しても重症な病気に罹っていることは稀なのですが、すぐに相談できる人が周りにいなかったり、特に初めての発熱となると、パニックに陥り、救急車を呼んでしまう方もいます。
高熱が出ていても、本人の機嫌がよく安静にできているようであれば慌てることはありません。無理に解熱剤を使う必要はないでしょう。しかし高熱のため良質な睡眠がとれなかったり、食欲がなくなって栄養状態が落ちたり脱水症になっては、病気と闘えません。発熱のよい影響と悪い影響を十分理解して、解熱剤を適切に使っていくことも重要です。
こどもが発熱した時、病院や診療所にはいつ受診したらよいでしょう?
普通、かぜ等の熱は三日程すると下がってきます。三日以上続く熱は受診をするというのも一つの目安だと思います。
ただし生後三か月以内なら、元気でもすぐに受診することをお勧めします。小さなこどもは、抵抗力が弱く病気の進行が早いこともありますし、自分で訴えらず病状がわかりにくいからです。
乳幼児期は予防接種をする機会も多いのですが、ワクチンを接種して半日から一日程して発熱することがあります。これはワクチン接種後の「副反応」という免疫反応のひとつで、半日ほどで解熱することが多く心配ないものです。
予防接種をした日の夜中に発熱したら朝まで待つ、翌朝発熱したら昼まで様子を見てみる、等の余裕が持てるとよいと思います。
院長のコラムが毎号紹介されている【母の友】の『こども健康相談室』より