ママのお悩み相談室
日頃ご相談の多いものについてわかりやすく説明します。成長について
わが子がしっかり成長しているのか、他の子どもに比べて心配になることが多いと思います。
乳児期は体重が増えないことが気になったり、幼児期になると背が低いのではないか、肥満ではないかと思ったり、心配も様々です。
「成長曲線」って、どんな意味があるんですか?
生後1か月、3〜4か月、6〜7か月、9〜10か月、1歳6か月、そして3歳時には乳児検診があります。身長、体重、頭囲等を測定し、その結果を母子手帳に記録してもらいます、その際、小児科の先生と一緒に母子手帳の後ろの方にある身長や体重の成長曲線を作成してみてください。
乳幼児の発育は個人差が大きいので、ワンポイントで、体重や身長の成長状況を正しく評価することはできません。小児科の先生は、生まれた時から小さいのか、途中から身長や体重の増加が少なくなったのか等を、成長曲線を観察し、「なにか原因がある」とか、「特に心配しなくても良い」等と診断しているのです。
身長と体重のバランスを見ることも大切です。体重は増えているのに身長の伸びが少ない場合は、何か背が伸びづらい原因があるかもしれません。身長が普通に伸びているのに体重が減っている場合は、栄養不足の可能性、身長が普通に伸びているのに体重だけとても増えている場合は、栄養過多の可能性があります。身長、体重とも増えが少なくても、成長曲線グラフで正常とされる範囲※に入っていれば、単に小柄ということもあります。
この範囲は、発育調査で上下3パーセントを除く94パーセントの子どもの数値が入る範囲で目安の一つです。
本当に栄養が不足すると、まず体重が増えなくなり、次に身長が伸びなくなり、最後に頭囲まで大きくならなくなります。そうなると脳の発達にも影響してしまいます。
身長が伸びないと、どのような問題があるのでしょうか?
背が低いこと自体、健康上の問題があるわけではありません。ご両親からの遺伝の影響も強く受けており、ほとんどの人は病気ではなく、その子の個性と言えるでしょう。
自分の子どもの背が高くなってほしいと考える親は多いと思いますが、それが子どもに伝わると、背が高いか低いかで優越感や劣等感を持つことにつながります。身長のことでそのような価値観を持つことのないよう、どうかいつもお子様たちに伝えてほしいと思います。
しかし、伸びない原因の中に重大な病気が隠れていることがあります。
成長期に栄養をきちんと摂取していても、吸収できない胃腸の病気や、代謝できない肝臓、腎臓の病気、骨を伸ばすために大事な成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌障害、骨自体に病気がある等、原因を見つけ、適切に対処することは重要です。治療することで、身長の問題以外に、合併していた不調や症状が改善してくることもあります。
太りすぎといわれたらどうすればよいでしょう?
学童肥満は40年間で3〜4倍に増えました。「ドラえもん」に出てくるジャイアンのような体格の子は、割合として以前はクラスに1人でしたが、今は4人ほどいると言われます。
また、子どもの肥満は成人肥満につながることがわかっていて、学童期の肥満の4割は成人肥満に、思春期肥満の7割は成人肥満に移行すると言われています。
成人肥満は脂肪肝、高脂血症、糖尿病等のメタボリック症候群等を引き起こしますが、学童期、思春期の肥満も既に小児メタボリック症候群を引き起こしています。肥満は過食や運動不足等の生活習慣が大きな原因ですが、この習慣はなかなか修正できません。
3歳時健診や就学時健診、学校の健診などで肥満を指摘されたら、生活習慣を見直す等、対応が必要かもしれません。
この10数年間、小児科医や学校関係者等による健診、生活指導と、ご家族の理解、協力により、学校のジャイアンは増えていません。子どもの生活習慣はまだ修正可能なのです。
院長のコラムが毎号紹介されている【母の友】の『こども健康相談室』より